くにうみの先見

地域で実現する、新しい自動車社会

地方では70~80歳になっても生活の移動手段として自動車は不可欠だ。事実上、日本の大都市部を除いた90%以上の土地では、ほとんど自動車しか運輸手段がない。しかし高齢者の自動車運転は事故率が高く、高齢者には運転免許の返納が勧められているのが現状だ。
日本国憲法第25条に「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と保障されており、地方の高齢者への移動手段の確保は必須だ。とはいえ、自治体がバスなどのサービスを提供するにしても限界があると思う。
そこで将来、「パーソナルな電車」となったEVが、一役買ってくれるだろう。一足飛びにとはいかないが、まずは高速道路における自動給電・自動走行を実現する。次に一般道路で可能にし、ゆくゆくは道路から建物の中まで走っていけるようにする、というのが私の考える最終形だ。
システムで制御できる自動車なら、例えば、建物の中ではそもそも人が歩く程の速さでしか動けないように設定してしまえば、病院の中でも安全に利用できる。
さらに、そこで1~2人乗りの超小型モビリティに乗り換えることができれば、よりきめこまかな移動ができる。自動車に通信機能も付ければ、高齢者や子どもが利用する際にも安心だ。
「パーソナルな電車」となった自動車を利用して作り上げられるまちは、今までに比べて移動がはるかに安心・安全なものとなる。「田舎は不便」という在り方・イメージが払拭されていく。
既にお分かりと思うが、自動車産業はやがて、単なる車両産業ではなくなるだろう。道路とまちをインフラとして整備しスマート化する、地域づくり全体の産業になる。このような総合的な地域づくりを実行しうる場所は、地価が安いところ、つまり今の過疎地だと思う。
そこでなら、今あるまちの文化の構造を壊すことなく新たな地域社会をつくることができるのではないか。
このようにまち全体をカバーできるのは、日本の国土の狭さゆえだ。米国や中国では、国土が広大過ぎて実現できないことと思う。
やがて日本は、新たな社会システムを輸出できるようになるだろう。その中には、電気、エネルギー、IT、建設、不動産などさまざまな産業が含まれる。現在、日本は既に自動車やエネルギー、ITなど多くの分野で世界最先端の技術を持っているのだから、その日は遠くないはずだ。
日本は、世界の最先端をゆく国として尊敬を集めるに違いない。

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